経営管理ビザの事業計画書の書き方をプロが解説【テンプレート付きで簡単】

経営管理ビザ申請に必要不可欠な事業計画。

会社を立ち上げるためには必ず必要で、作成したことをある方もいらっしゃるはずです。

ただ、経営管理ビザ取得に必要な事業計画書は少し特殊で作り込まないとビザ申請を許可されにくくなってしまいます。

今回は経営管理ビザの申請に必要不可欠な事業計画書の書き方を、テンプレ付きでご紹介します。

ぜひ参考にしてみてください。

経営管理ビザの事業計画書のテンプレート

経営管理ビザ 事業計画書 テンプレ

事業計画書雛形

経営管理ビザを取得する多くの場合、事業計画書が必要です。

フォーマットの指定はなく、自由な形で作成することができますが、基本的な項目は押さえておかなければなりません。
その他記載すべき項目については事業計画書を提出することの意味を考えたうえ、始めようとする事業の具体的内容に則して決めていきましょう。

ここでは最低限記載しておくべき内容を抑えて紹介していきます。

事業の概要

会社を設立する際、事業名や事業目的などを定款および登記に記載することになります。事業計画書上に記載する「事業概要」はその定款や登記の内容と矛盾がないようにし、その会社がどのような事業をしているのか審査官に伝わるようにしましょう。

ただ他の項目でも言えることですが、経営管理ビザ取得のために提出する事業計画書は、金融機関に対し資金調達をするために提出する事業計画書とは趣旨が異なります。

顧客に対する企業の説明資料のようなイメージで作成し、ビジネスの実態が存在することをアピールしましょう。

簡単な例文:
「全国の販売店および個人から家電を買い取り、○○に輸出販売を行う。国内では商品の買取りから保管、輸出準備等を行う。○○の現地企業とは、商品に関する需要・価格・購買層などの情報のやり取りを行い、・・・(以下に続く)」

創業の動機

創業の動機については下でも詳しく説明しますが、重要な項目です。というのも経営管理ビザを取得しようとする者の中には、真にビジネスを始めたいという意思を持つ者だけでなく、別の意図のためにとりあえず取得しようとする者も存在しており、そういった人物ではないことをアピールする必要があるからです。

簡単な例文:

 

「私はこれまで○○料理を提供する飲食店で10年間勤務し、3年ほど前からは自分の店を持ちたいと考え、起業や経営に関する勉強をしてきた。また日本に来た際、将来性を含め○○料理のニーズが高いと感じた。競合の調査等も行い、このタイミングでの創業がベストであると判断したため申請に至った。・・・(以下に続く)」

事業内容

商品やサービスの内容、市場の規模と成長性、顧客に関する情報などを記載していきます。

商品の説明においては、商品ごとの仕入単価や販売単価についても明記しておきましょう。

そこでなぜ日本進出を考えたのかなど創業の動機をしっかりとまとめ、本当に日本でビジネスを始めようとしている人だと思ってもらえるように記述しましょう。

簡単な例文:
「・・・をコンセプトに○○語の教育サービスを提供する。実店舗にて近辺の顧客を取り込むとともに、講義内容をオンラインでも配信。会員制で配信内容を一定期間視聴できるようにして全国的な顧客獲得も目指す。主なターゲット顧客としては・・・(以下に続く)」

事業展開

上の「事業内容」を踏まえ、今後どのように事業を展開していくのか記載します。自身の始める事業が将来にわたり継続できそうであることを主張する内容にしましょう。

簡単な例文:

 

「今後の事業展開

○○年○月~〇月

・・・

○○年○月~〇月

・・・

○○年○月~〇月

・・・(以下に続く)」

資金計画

資金計画を設備資金計画・運転資金計画・資金調達計画等に分けてまとめていきます。

設備資金計画では、土地や建物、開業費、備品などの具体的内容と金額、そして時期を記載。

運転資金計画では、商品・材料、外注費、人件費、地代・家賃などを記載。人件費については、例えば役員報酬に月○○円、従業員給与に月○○円×△人といった形で記載します。ただし役員報酬については月額で十数万円以上とし、生活できるほどの額は最低でも支払うようにしましょう。

資金調達計画では、主に資本金や借入金につきどのように調達するのか、例えば「自己資金」や「銀行」などと記載します。

簡単な例:

「設備資金計画
土地:・・・
建物:・・・
開業費:・・・
備品:・・・
・・・(表形式で記載。以下に続く)」

損益予測・収支予測

当該事業計画通りに事業を遂行したとき、いつまでにいくら売り上げを出せるのか、いくらの支払いが生じ、いくらの利益が出るのかといったことを予測していきます。

具体的な数値で利益を表現するため、内容によっては安定した事業を展開できると説得できる資料となるでしょう。

ただし根拠ある数値としなければなりません。

損益予測では売上高や売上原価、売上総利益、経費等々を時期ごとにいくらとなる予定なのか記載。

収支予測では、月単位の経常収支や経常外収支をまとめていきます。

また初年度は売上高が上がりにくく赤字になることも十分考えられるため、2年分ほどを目安に合理的な収益予想をするといいでしょう。

簡単な例:

「営業月:1|2|3|4|5|6|7|8|9|10|11|12
●収入
商品売上:・・・
仕入原価:・・・
売上総利益:・・・
●支出
・・・(表形式で記載。以下に続く)」

その他の項目

ここで例示した項目以外にも、必要に応じて以下の項目も取り入れてみましょう。

MEMO
  • 組織体制
  • 取引先の情報
  • 競合他社の分析
  • 自社が有利に展開できる外部環境
  • 人員計画

事業の安定性・継続性をアピールできそうな項目を盛り込むようにします。例えば取引先がすでに確定していればその情報を記載し、事業開始後からある程度安定した利益を出せる旨主張するといいでしょう。

競合他社について的を射た調査ができていればすぐに廃業しそうだという印象も与えずに済むかもしれません。また他社と比較してどのような強みがあるのかアピールしましょう。

経営管理ビザの事業計画書を作成する上で気をつけるポイント

経営管理ビザ 事業計画書 ポイント

事業計画書で記載すべき基本的な項目は上の通りですが、ただ書けば審査に通るというわけではありません。

特に、自らの行うビジネスに関して主観的な書き方をするのではなく、俯瞰的客観的に捉えて作成することが大切です。

ビジネスを始める動機を明確に

ビジネスを始める動機については、曖昧な書き方ではなく、審査官を納得させるように記載しなければなりません。

なぜ事業を始めるに至ったのか、また日本でビジネスをしたいと感じたきっかけなど、「経営管理ビザ」という形で在留資格を得る必要性を訴えかけましょう。

特に重要なのは、マネーロンダリングを目的としていると少しでも思わせないことです。

マネーロンダリングとは犯罪等によって発生したお金の出所を分かりにくくするための行為で、「資金洗浄」とも呼ばれます。

自分ではそのようなつもりがなくても、客観的に見て怪しいと思われないよう、注意して記述する必要があります。

市場規模・ビジネスモデルを調査

市場規模およびビジネスモデルの調査は、事業計画書で将来性を示すために必要な作業となります。

市場規模を把握すれば自社の市場占有率の予測がしやすくなるからです。例えば市場規模が1000億円で市場占有率が0.1%とすれば売上は1億円です。同じ市場占有率でも市場規模が拡大すれば売上は伸びていくと推定されます。

記載する売上予測について、市場規模の把握がしっかりとできていれば事業計画書の信頼度も上がるでしょう。

ただ、市場規模の調査も簡単にできるものではありません。調査機関や国の機関等が調査した資料があればそれを利用することになりますが、なかなかピンポイントで欲しい資料が手に入るとも限りません。また費用や労力もかかるため無限に調査できるものでもありません。

そこでインターネットなども利用しつつ多くの資料から多角的に類推していくことになるでしょう。もちろんその調査結果に根拠を示せる必要があります。

一方ビジネスモデルは市場規模のように業界全体の傾向などを調査するのではなく、自社における「利益を生む仕組み」を見出すことが目的となります。

「ターゲットは誰なのか」、「何を売ろうとしているのか」、「どうやって集客をするのか」、これらの仕組みを構築します。

この仕組みは必ず新規性・独自性を有している必要はありません。実際、多くのビジネスモデルには共通するベストプラクティスが存在し、類似点も多くあります。そのため成功例を参考にビジネスモデルのベースを考え、部分的に新規性を持たせるというイメージで作ると良いでしょう。

収支計画・資金計画

収支計画および資金計画は、当然ながら現実的なものでなければなりません。曖昧で、適当な金額を記載したのでは事業計画書全体の信頼を落とすことにも繋がりかねません。一つ一つの計画に客観的な根拠を与えながら作成していきます。

そこで、まずはビジネスモデルから収益化の流れを設計してみましょう。ビジネスモデルができていれば必要な費用項目や売上の仕組みが把握しやすくなっていますので、ここではさらに収支の要因を細分化していきましょう。

事業内容にもよりますが、例えば売上は顧客数と単価の掛け算で表すことができ、さらに顧客数と単価はどのような要因で増減するのか図示していくと理解しやすくなります。

費用も同様です。原価や販売管理費等を足し算したものが費用とすることができますが、原価の総数は顧客数と1個あたりの原価の掛け算で表すことができるでしょう。販売管理費は人件費や広告費などに分けることができます。

売上と費用の構造が設計できれば、その結果から営業利益を計算することができ、収益化の流れの全体像が可視化されます。

その後売上計画を作成し、変動費の計算、固定費の見積りをしていきます。

収支計画においては、立ち上げ当初の赤字期間も考慮しなければなりません。キャッシュフローとしてはマイナスが続くことも想定されますが、自社の成長を見越して適正な資金の額を設定していくことになります。

資金計画を立てるときには設備資金および運転資金の概念が重要になります。設備資金は事業開始にあたり一時的にかかる資金、例えば店舗の内装や機械設備など、長期間使用し続けるようなものが該当します。

一方運転資金は事業の継続のためにかかる日常的な資金のことです。人件費や家賃、仕入れなどにかかる費用が該当します。

事業のリスクとコンプライアンス

事業計画書では自社の有意性を伝えるのみならず、発生し得るリスクの把握とそれに対する体制が整っていることを伝えることも大切です。

またコンプライアンス違反が発生しにくい組織体制になっていることも説明できるといいでしょう。

収支計画などから、利益を出すことのできる会社だと評価されても、コンプライアンス上の問題が是正できなければ組織としての脆さを抱えていることになってしまいます。

安定した事業継続のためにはコンプライアンスに配慮することも重要です。

枚数はA4サイズで10枚ほど

事業計画書の分量は特に指定がありません。ただし審査するのも人ですので、ただ詳細に大量の情報を載せればいいというものでもありません。

他人が見て理解しやすく、まとまりのある内容でなければなりません。目安としてA4サイズの用紙10枚以内には収まるようにし、少なすぎることも多すぎることもないように注意しましょう。

経営管理ビザの事業計画書に必要な規模感

経営管理ビザ 事業計画書 規模感

経営管理ビザ取得にあたり設立する会社には、一定以上の規模が求められます。

基本的には従業員が2名以上いる程度の規模感です。ただ、従業員2名というのは形式的な要件ではないため、代わりに500万円の出資をすることでも同等の規模感を示すことができます。

なお規模感については法改正によりやや緩和されています。かつては資本金など、出資総額が500万円以上であることに加え、実際にその額を投資していることを説明できなければなりませんでした。

現行法では、登記事項証明書上で500万円以上の出資が示せれば十分とされています。

関連記事:経営管理ビザ取得に必要な500万円【理由や疑問をプロが解説】

経営管理ビザになぜ事業計画書が必要なのか

経営管理ビザ 事業計画書 なぜ

経営管理ビザを取得するために作成する事業計画書は、事業の安定性と継続性を示すために必要な資料です。

また上述の通り、マネーロンダリングの可能性を排除する意味でも重要な資料となります。

ただ経営ビザを取得したいだけの人、ペーパーカンパニーを作って犯罪をしようとしている人に在留を認めてしまわないよう、ビジネスの実態が審査されます。

経営管理ビザの取得では学歴や経営者としての経歴、そして日本での事業の経験も要件とはなっておらず、日本にとって利益をなり得るビジネスを展開してくれる人材を広く受け入れています。そういった意味では要件が緩いと考えることもできます。

ただしその分事業が成功する見込みを示さなければならないのです。単に日本で事業を始めたいというだけで簡単に在留を認めてしまうと、利益を出すことができないという事態も多く起こり得るでしょう。

わざわざ「経営管理」という枠で在留資格の取得を認めているのは、国に税金が納められること等により日本にとってもメリットがあるからです。

このメリットを生むと見られるには事業が成功すると思わせることが必要で、そのために事業計画書を作成しているのです。実際、事業を始めてもその後廃業してしまい、経営活動をしていない外国人の存在が問題にもなっていたりもします。

こういった目的を理解していると、審査通過を目指した事業計画書の作り方が見えてくるかと思います。

また、一般的に事業計画書を作成するのは金融機関から融資を受ける場面をイメージすることが多いかと思いますが、経営管理ビザ取得の場面とは事業計画書を提出する意味が異なりますので注意が必要です。金融機関が重視するのは返済をしてくれるかどうか、という点です。

一方ビザ取得において重視されるのは金銭的な問題に加え、その外国人が本当に事業を行うのかどうかといった点も含まれます。事業の安定性・継続性ももちろんですが、ビジネスの実態と、人間的な部分も見られるという違いがあるのです。

経営管理ビザの事業計画書のまとめ

事業が安定できそう、継続できそうと思わせることが経営管理ビザの取得では必要です。

事業計画書はその説得をするために作成します。ただ作成するだけであればそれほど難しくないかもしれません。

しかし審査に通るためにはしっかりと作りこむことが必要で、専門的な知識も欠かせられません。

そこで自分1人で作成するのではなく、専門家の力も借りて進めていくといいでしょう。

事業計画書の作成に実績を持っている専門家であれば効率的に作成作業を進められ、効果的な事業計画書を作るためのサポートしてくれるでしょう。困ったこと、分からないことがあればまずは専門家への相談を検討してみましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です