個人事業主でも経営管理ビザは取得できる?【注意点やポイントを解説】

経営管理ビザは多くの場合、外国人の方が起業をして日本で会社を経営するために取得します。

しかしビジネスを始める方法は起業だけでなく、個人事業主になるという方法もあります。

主にビジネスの規模の違いから会社の立ち上げか個人事業主になることを選択するかと思いますが、経営管理ビザの取得が必要な場合だとこの選択に慎重にならなければいけません。

ここでは個人事業主として活動するために経営管理ビザを取得する際のポイントや注意点を解説していきます。

個人事業主でも経営管路ビザは取得可能

最初に結論を言っておくと、個人事業主でも経営管理ビザを取得することは可能です。会社を立ち上げなければ取得不可能ということではなく、自分が主体となってビジネス活動を行うのであれば個人事業かどうかといった形式に関係なく取得することはできるのです。

実際、経営管理ビザ取得のための要件として「株式会社の経営または管理をすること」などと定められているわけではなく、「一定以上の規模であると認められること」といった規定が置かれています。

ただ、個人事業だと会社より規模が小さいことが一般的なため、取得難易度はやや高くなると思われます。詳しくは以下で解説していきます。

個人事業主でも経営管理ビザの条件は同じ

個人事業主のほうが経営管理ビザの取得は難しくなる傾向にありますが、それは会社経営に比べて要件が厳しくなるから、ということではありません。

あくまで条件は同じです。

そのため、

  • 500万円を出資する程度の事業規模
  • 独立した事業所の確保

これらは必須となります。

つまり事業規模の比較的小さな個人事業であるにも関わらず500万円の出資、あるいはそれと同視できるほどの規模を示せなければならないのです。また「事業所の確保」に関しても問題となることがあります。

個人事業だと自分1人で活動するケースも珍しくありませんし、自宅開業をする例も多くあります。

もちろん個人事業でも従業員を雇うことはできますし、店舗を構える必要のある飲食事業などであれば事業所の確保は当然クリアできるものと思われます。

しかしIT系はパソコン1台あれば仕事ができてしまうため、ビザの取得を考えないのであればわざわざコストをかけて事業所を構えることに大したメリットがないのです。

例外的に自宅開業でも事業所を確保できたと評価してもらえることもありますが、居住スペースと事業用スペースがしっかりと分離できていなければならず、マンション等に住む場合はあまり現実的ではありません。

また契約上も事業用としての利用が認められている必要があるなど、条件は厳しめです。

事業規模・事業所以外の条件としては「事業運営に必要と法定されている営業許可を取得していること」が挙げられるでしょう。

これはあらゆるケースで必要となるものではありませんが、飲食店のように「飲食店営業許可」が営業のために必要と定められている場合には取得が欠かせません。

特に個人事業としてビザを取得するのであれば店舗を構えるケースが多いと想定されますし、実際飲食店経営をするためにやってくる外国人は多くいます。

ビザ取得にあたり前提となる許可ですし、許可を受けずに営業をしてしまうと懲役刑や罰金刑を科せられることがありますので注意しましょう。

あとは事業の安定性および継続性を示すことのできる事業計画書の準備も必要です。事業計画書の書き方に指定はありません。

しかし経営管理ビザを取得するためにはその外国人が行うビジネスが安定すること、利益を出し継続できることが重要視されます。この安定性・継続性を評価するための資料の一つとして事業計画書が用いられるのです。

事業計画書以外にも、その人の学歴や職務経歴なども評価材料となります。要はビジネスの実態が事業計画書により審査されるのです。

関連記事:経営管理ビザの事業計画書の書き方をプロが解説【テンプレート付きで簡単】

実際は取得が困難な場合が多い

上で、500万円を出資する程度の事業規模が必要と言いましたが、同じ事業規模が基準になっていると言っても、起業をする場合と個人事業主になる場合とでは難易度に差があります。

なぜなら法人の場合には、起業時に資本金として500万円の出資をしたことを証明するのが容易ですが、個人事業主ではこの証明が難しいのです。

500万円を事業用に準備したと言うだけでは不十分ですし、専用に銀行口座を作ったとしても法人の口座ではないため事業主の自己申告に頼ることになってしまいます。

個人事業主になること自体、税務署に開業届を提出するだけでよく非常に簡単で、資本金というものが観念されないのです。

そこで、事業に対し500万円の出資をしたと認めてもらうために以下のものにお金を使うといいでしょう。

  • 事業所の確保
  • 従業員の給与等
  • 事業業所に備えつける事務用品等事業所維持に必要なもの

事業所に関するものへお金を使うのが一般的でしょう。経営管理ビザを取得するための要件でもあるため無駄なく出資できます。

例えば事業所を開設するときに支払う預入保証金、賃料の3ヶ月分、仲介手数料などは事業経費として認めてもらいやすいです。

店舗を構えるビジネスなら設計費含む改装費用、設備購入費用も同様に事業経費として扱うことができるでしょう。他には事務所に配置するパソコンやデスク、チェアなども含めることができます。

従業員を雇う場合にはその給与分、許認可の取得にあたり行政書士等へ依頼をしていたのであればその費用を含めることも可能です。

一方で個人事業主といっても住居にかかった家賃や敷金、仲介手数料などは事業経費にはなりませんし、来日にかかった航空券代や宿泊費なども投資とは認めてもらいにくいでしょう。

また事業所に関するものであっても、プライベートとの区別が付けにくいスマホやタブレットなどの端末購入費は認められない可能性があります。

3か月より先にかかることが予定されている事業所の賃料についても初期投資として含めることはできない可能性が高くなります。

関連記事:経営管理ビザ取得に必要な500万円【理由や疑問をプロが解説】

個人事業主で経営管理ビザを取得する方が多い業種

個人事業主が経営管理ビザを取得する例として多いのが店舗系ビジネスです。つまり飲食店のようにお店を構えてそこにお客さんを呼び込んで営業をするようなパターンです。

単純に飲食店を経営したいと考える数が多いことに加え、店舗系ビジネスだと比較的経営管理ビザが取得しやすいという特徴があるため件数が多くなっています。

そして取得がしやすいというのは店舗を準備するのに初期投資として500万円以上を使うケースが多いことに由来します。大きく、物件取得そのものにかかる費用と、内外装の工事や備品購入に関する費用とに分けることができます。

店舗用に借りる物件の場合、居住用に借りる一般的な物件に比べて敷金等の保証金額が高く設定されているため、初期投資のうち非常に大きな割合を占めることになります。

居住用であれば賃料の1ヶ月分あるいは2か月分程度が相場ですが、この場合だと10ヶ月分かかることも珍しくありません。

仮に月20万円の物件を借りるとすれば保証金だけで200万円が必要になります。また前の店舗の状態をそのまま受け継ぐ居抜き物件だと前借主に譲渡代金を支払うことになりますので、内装や設備の状態によっては数百万円を支払うこともあります。

内外装の工事や備品など、店舗投資でも厨房機器や看板の設置などで大きな費用を支払うことになるでしょう。

関連記事:経営管理ビザを取得して飲食店を営業【外国人でも開業可能】

個人事業主で経営管理ビザを取得することが難しい業種

店舗を構える必要のないビジネスです。

例えばIT系や翻訳業なども外国人の参入も多い分野ですが、個人事業主として始めて経営管理ビザを取得するという意味では難易度が高いと言えるでしょう。

やはり500万円の出資に関して証明が難しくなります。

個人事業主で経営管理ビザを取得するパターン

次に個人事業主で経営管理ビザを取得するパターンをいくつか紹介していきます。

基本的に個人事業主として経営管理ビザを取得する場合、その手続上、すでに日本で住んでいることが想定されますので、以下の「留学ビザ」からの切り替えや「就労ビザ」からの切り替えがメインルートとなるでしょう。

留学ビザから経営管理ビザ

留学ビザで日本にやってきて学生をしている者でも、経営管理ビザを取得することは可能です。ただしこのケースではその外国人にビジネス経験がないことや資金調達が困難であることから難易度は高いと言えます。

そこで留学ビザから切り替えて個人事業を営みたいときには以下のポイントを押さえるようにしましょう。

  • 動機をしっかり説明できること
  • 自分が専門的に学んだ分野で事業を始めること
  • 事業計画書を作り込むこと
  • 出資金の出どころを明確にすること

動機に関しては、もともと学ぶために日本にやってきたのになぜ経営をしようと考えたのか説明できる必要があります。とりあえず在留期間を延長するために取得しようとしているのではないかと思われる可能性があるからです。

また学生だと実務経験がないため、この点事業の安定性・継続性を評価する上でネックとなりやすいです。そのためこれまで学んできた専門分野を仕事にするなどして、少しでも取得に近づけるようにするといいでしょう。事業計画書の重要性に関しては前述のとおりです。

そして留学ビザからの切り替えでもう一つ大きなハードルとなるのが出資金の準備です。というのも留学ビザで日本に滞在している場合、原則として働くことができません。学ぶことを目的とするビザだからです。

資格外活動許可を得ることでアルバイトが可能にはなりますが、これにより資本金を貯めることは認められず、留学生は500万円を準備するため親族等から贈与・貸付を受ける例が多いです。

そしてこのときには送金履歴などとともに親族等の経済力を示すことでお金の出どころを明確にすることが大切になります。

関連記事:経営管理ビザに学生(留学)ビザから切り替えることはできるの?【卒業後に起業したい!】

就労ビザから経営管理ビザ

就労ビザから切り替えて個人事業を始めるケースが比較的多いと言えるでしょう。留学ビザに比べて職務経歴がありますし、お金も貯めやすいからです。

なお、この場合には新しく立ち上げる事業を始める前にビザの切り替えを完了させていなければいけないため注意しましょう。

勤めている会社で副業が認められていたとしても、特定の就労ビザで日本に在留している場合には報酬の発生する活動を自由に行うことはできず、限られた範囲内でしか許されません。

会社を辞めていたとしても同じですし、退社している場合には別の問題も発生してきます。技術・人文知識・国際業務の在留資格のまま、正当な理由もなく継続して3か月以上在留資格に関する活動を行っていない場合、在留資格を取消されてしまうことがあるのです。

ルールが複雑に感じるかもしれませんが、切り替えのタイミングなどで相談を要する場合には早いうちに行政書士に相談しましょう。

配偶者ビザから経営管理ビザ

例としては少ないですが、配偶者ビザにより日本で生活をしている者もビザを切り替えて個人事業を始めることは可能です。

取得要件に違いはありませんが、やはりこの場合でも事業の安定性・継続性を示すため説得力のある事業計画書の作成が重要になってくるでしょう。

個人事業主で経営管理ビザを取得する上での注意点

個人事業主で経営管理ビザを取得する注意点をご紹介します。

外国から移住して個人事業主として働くことは不可能

会社を立ち上げる場合と違い、海外から移住して個人事業を始めることはできません。なぜなら個人事業主となるための開業届を税務署に提出するには、日本国内の住所地が必要になるからです。

そのため前項で紹介したように留学ビザや就労ビザからの切り替えによって取得を目指すことになるでしょう

個人事業主でも事業所は必須

すでに説明した通り、事業所は経営管理ビザの取得にあたり必須です。個人事業主でも変わりありません。

自宅開業できそうな内容であっても居住スペースと完全に分離ができる状況でなければなりません。

事業規模をかなり制限される

個人事業を営む場合、事業規模が制限されることに注意しましょう。

これは法人に比べて信用を得にくいことや、そもそも法人を想定した取引も多くあるからです。

そのため大きな仕事ができない可能性があることは知った上で始めるようにしましょう。

フリーランスでも経営管理ビザを取得可能?

技術・人文知識・国際業務ビザで従業員をしていた人が、フリーランスのエンジニアとして会社と業務請負契約を結んで活動をすることは多くあります。

このとき、仕事内容が前職と一致していれば更新は可能とされています。

ただし売上高が大きくなってくると経営管理ビザを申請しないといけなくなることもありますので注意しましょう。経営管理ビザが必要な状態で、技術・人文知識・国際業務ビザのまま在留していると不法在留になってしまいます。

個人事業主で経営管理ビザ取得は可能だが限定的

結論、個人事業主で経営管理ビザを取得することは可能です。ただし出資金の問題などもあり難易度は高めです。

そのため個人事業とせず会社を立ち上げたほうが良い可能性もあります。具体的な手続きや、適切な方針を決める際には専門知識が必要になりますので行政書士等、専門家に相談し進めていくと良いでしょう。

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