経営管理ビザを共同経営で取得するための要件とは?事例も交えて解説

経営管理ビザ 共同経営

日本で起業し事業を始めるため、在留資格として「経営・管理」のビザを取得することがあります。

すでに仲間がいる場合には2名以上の外国人で、共同で起業するというケースもあるでしょう。

「それぞれが役員に就任し会社の経営をしていく」

というような状況です。この場合、それぞれの外国人に経営管理の在留資格が認められる場合と、全員には認められない場合とがあります。

もともと取得難易度の高い在留資格ですので、これをさらに仲間全員で取得するためにはよくルールを理解したうえで要件を満たすよう準備しなければなりません。

ここでは、共同経営をする場面において経営管理ビザを取得するための要件を解説していきます。

そして、経営管理ビザを共同経営で取得できた事例の紹介もしていきます。

ぜひ、参考にしていただければと思います。

経営管理ビザ共同経営で取得する上での考え方

経営管理ビザ 共同経営 考え方

基本的に経営管理ビザは1つの会社につき1人に与えられるものと考えられています。

そのため経営管理ビザを共同経営者全員で取得するためには相当の理由が必要とされます。1つの会社に複数人の経営もしくは管理者が必要な理由です。

ただし日本での外国人受け入れ数については年々増加の傾向にあり、しっかりとその必要性を提示できれば取得も不可能なことではありません。2015年から2019年までの就労ビザにおける「経営・管理」分野の取得数を見てみると、2015年では1万8千件ほどであったのに対し、2019年では2万7千件にまで徐々に増加しています。

その他の分野でも増加傾向にあるものが多く、優秀な人材を多く受け入れようとしていることが理解できます。一部、「研究」の分野については減少の傾向にあるものの、特に「医療」「介護」「高度専門職」については大きな増加傾向が見られます。

「教授」「芸術」「報道」「法律・会計」については停滞していますが、就労ビザ全体で見ると外国人が多く取得されたことが分かっています。

しかし、経営管理ビザにおいてはただ日本で働きたいというだけでは足りず、事業の経営や管理への実質的な参画が求められます。

役員という立場に就任するだけで簡単に取得できるものでもありません。

経営管理ビザを取得する上での重要な考え方は、実質を伴う経営者であることを示すということです。

特に共同経営で取得するのであれば、どちらかが実質的な経営を担い、一方が経営にそれほど参加していないのではないかと疑われる余地が大きくなってしまいます。

これだけ厳重に審査が行われる理由には大きく2つ挙げられます。

1つは経営管理ビザを取得し、これを利用した犯罪行為を働く者がいるということ。

もう1つは経営管理ビザを取得して事業を立ち上げたものの利益を全く出せず事業を辞めてしまう外国人がいるということです。

経営管理ビザを与える側としては、会社の利益を上げてもらい、経済効果を出してもらうことや税金を回収することが重要になってきます。

そのため利益が出せず経営状態が不安定な会社と判断されると取得ができないこともありますし、ましてや犯罪のために利用しようとする者に在留資格を与えるわけにはいきません。

そこで、共同経営で取得するような場合でもそれぞれの外国人に別個で取得要件を満たすとともに、共同で経営者になる必要性が求められるのです。

ここでも考え方としては実質を重視することになります。事業の規模や業務量、売り上げなど諸事情を勘案し、経営・管理を複数人の外国人が行う合理的な理由が認められなければなりません。

それぞれの外国人が担当する具体的な業務内容や、役員として支払われる報酬額についても考慮されます。

経営管理ビザの共同経営はパターンが2種類ある

経営管理ビザ 共同経営 パターン

共同経営で取得する場合、大きくパターンは2種類に分けることができます。1つは外国人と日本人が共同経営するパターン。

もう1つは外国人だけで共同経営するパターンです。

それぞれで要件は異なりますので注意する必要があるでしょう。

外国人1人・日本人1人の共同経営パターン

外国人と日本人が共同経営となるパターンでは、出資額の総額が500万円でいいという特徴があります。この出資については色々な意味が含まれていますが、共同経営で注視すべきは意思決定権がどこにあるのかということでしょう。

例えば株式会社なら株主総会で意思決定が行われますが、単独で経営に関する事項を決めるため特別決議要件である3分の2以上の出資をしている者が大きな決定権を持つと言えます。

外国人と日本人が共同経営をするため経営管理ビザを取得するのであれば、外国人が実質上の経営権を取得することが大切です。

総額で500万円程度を目安とし、内訳は外国人が3分の2以上の決議権を持つように調整して出資をしましょう。

外国人2人の共同経営パターン

次に外国人だけで共同経営するパターンを見ていきましょう。

この場合前項のパターンと違って、外国人それぞれに500万円以上の出資が求められます。

そのため総額で500万円の出資としてしまうと、どちらかが取得できない可能性も出てきます。

基本的にそれぞれが500万円以上を出資した上で、各自の出資額がおおむね均等になるようにすることが望ましいでしょう。

そして出資額だけで調整するのではなく、それぞれの経営に関する役割分担や利益の配分などを明確に設定し、経営をする上で決定権が偏り過ぎないようにしましょう。

具体的に経営管理ビザが共同経営で許可される条件

経営管理ビザ 共同経営 許可条件

共同経営で経営管理ビザを取得するための条件を詳しく見ていきましょう。

まず、ここまでで説明してきたように、前提として

  • ビザを取得しようとする外国人がそれぞれ実質的に経営に参画すること
  • 事業の管理に参画していること

が必須です。そして実質的に参画していると言えるためには、

  • 企業活動における重要事項の決定権を有すること
  • 事業の執行や監査の業務に従事する活動をしていること

が求められます。

また、以下では共同経営をする場合に特に注目すべき点を紹介していきますが、経営管理ビザを取得するためには事業所の確保や事業計画書の提出なども必要です。

事業所の確保については、事前に活動拠点となる施設を日本国内に確保しておくことが必要で、短期賃貸などでは認められませんので注意が必要です。

事業計画書からは事業の継続性や安定性が評価されます。

その他判断材料には当該外国人の職務経歴も重視されます。実際のところ、経営・管理の経験がなければビザが発行されにくいという現状があります。

合理的な理由

様々な就労ビザがあるなか、共同経営をするために複数人が経営管理ビザを取得することの「合理的な理由」が求められます。

少し説明した通り、この合理性については事業の規模や業務量、売り上げなど諸事情を勘案して評価されます。事業の規模が小さく業務量も少ないことが明らかであれば、経営管理をする者が複数人必要ないと判断されやすくなるでしょう。

逆に売上高が大きく従業員数も多い場合など、経営や管理を行う者の負担が大きくなってくると見られる場合には、認められやすくなるでしょう。

また業務によっては高い専門性が求められることもあります。国内における営業のプロと海外情勢に詳しいプロが1つの企業を経営していくという場合には、それぞれが欠かせない存在である旨を上手くアピールすることで認めてもらいやすくなるかもしれません。

相当額の出資・投資

出資額については500万円以上が求められます。この500万円は、事業の継続性や安定性を図る1つの目安として考えられています。この額以上の出資をすることでそれなりの事業規模があることを示すこともできるでしょう。

出資額は土地や建物などの価額を合計したものでもいいとされています。またお金を借りて出資するのでも構いませんが、このときには契約書を証明資料として見せる必要があります。

それぞれの業務内容の明確化

複数人の外国人が共同で事業を起こし、役員に就く場合、各々の従事する業務内容が明確になっている必要があります。それぞれにつき在留資格の該当性や上陸基準適合性を審査するために求められる情報です。

各経営者が具体的にどのような業務に取り組んでいるのか、各役員の必要性を役割分担という形で伝えられるといいでしょう。その上で企業全体の方針については両者が話し合って決めるものとしましょう。

相応の報酬

報酬について金額の指定があるわけではありませんが、相当の報酬額を支払わなければなりません。

共同経営の場合には出資割合から報酬額を算定するなどのルールを設けるといいでしょう。

ただし最低でも月額18万円以上は確保するべきと考えられています。

というのも個人の生活が維持できることも必要とされますので、あまりに少ない報酬額だと、どのように生活しているのか、変に勘繰られる可能性があるのです。少ない報酬額を設定する場合にはその理由をきちんとその説明できるようにしておきましょう。

経営管理ビザを共同経営で取得した事例

経営管理ビザ 共同経営 取得 事例

次は共同経営で取得できた事例を2つ紹介していきます。ポイントは出資額と経営管理に関する役割分担です。

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00052.htmlより

事例①

事例①はこうです。

I:外国人AとBが、それぞれ500万円出資し、日本国内に輸入雑貨業を営むX社(資本金1000万円)を設立した。
II:Aは通関手続をはじめ輸出入業務等海外取引の専門家。Bは輸入した物品の品質・在庫管理及び経理の専門家である。Aは海外取引業務の面から、Bは輸入品の管理及び経理面からそれぞれにX社の業務状況を判断し、経営方針については共同経営者として合議で決定することになっている。
III:AとBの報酬は事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。

この事例はAとBの両方が外国人ですが、Iにある通りそれぞれが500万円を出資しており出資額の条件をクリアしています。IIではAとBの役割分担と、経営方針に両者が関与する旨のルールを設けています。IIIは報酬額に関する取り決めを示しています。

事例②

事例②はこうです。

I:外国人CとDがそれぞれ600万円及び800万円を出資。日本国内で運送サービス業を営むY社(資本金1400万円)を共同で設立した。
II:運送サービスを実施する担当地域を設定した上でC・Dがそれぞれの地域を担当。それぞれ担当の地域について事業の運営を行っている。Y社全体としての経営方針はC及びDが合議で決定する。
III:CとDの報酬は事業収益からそれぞれの出資額に応じた割合で支払われることとなっている。

細かく見ると事例①と異なる点もありますが、I・II・IIIでそれぞれ同じ条件をクリアしています。

出資額については同額ではありませんが、この程度の差であれば問題ないということが分かります。

IIの役割分担についても、事例①では仕事の種類自体が違っていましたが、事例②では担当地域ごとの事業運営という分け方になっています。このような分け方でもいいということが分かるかと思います。

経営管理ビザの共同経営のまとめ

経営管理ビザを共同経営という形で取得するための条件等を解説していきました。実際に申請書を出す際には客観的資料を準備し、業務内容の分担を決めたことについては業務分担表などを作成し明確にしておきましょう。

ただしすべての条件をクリアし、それを適切にまとめて申請をするのは簡単な作業ではありません。労力がかかる上に専門的な知識も必要になります。

しかも日本で準備できる時間も限られているため、日本に協力者がいなければかなり苦労するかと思います。事務所の確保やお金の準備などはなかなか外国人1人では難しいです。さらにこれまでに企業の経営経験がない方は特に厳しい状況になることが想定されます。

そこで行政書士など、ビザ取得のための知識を持った専門家に相談し手続を進めていくことが望ましいでしょう。事業計画書の作成も非常に重要なポイントですが、これら様々な書類作成においてアドバイスを得られます。

具体的にどのような書き方をすればいいのか、複数の外国人で経営をするときの役割分担、報酬の設定、資本金に関することなど、トータルでサポートをしてくれるでしょう。

共同経営で経営管理ビザを取得しようとするとさらに難易度が高くなってしまいますので、事務所のホームページ等を確認し、特にビザ取得に強みを持っている行政書士に依頼するようにしましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です