経営管理ビザの更新に必要な用件とは?【赤字の場合で不許可になりにくい対策を解説】

日本でビジネス活動を行う外国人や、外国人の管理者に必要な経営管理ビザ。

一回取得したら終わりではなく、何年かに一度はビザ更新が必要となります。

経営管理ビザは更新の度に審査が行われ、事業の安定性や継続性だけではなく、雇用・納税状況なども踏まえた上で総合的に判断されると言われています。

ビザの更新ができなければ、日本で仕事が行えなくなります。

赤字決算である事業者は特に更新が難しいとされており、専門家と共にリカバリー方法を提示しなくてはいけません。

経営管理ビザ更新では最低限提出が求められている書類以外にも、申請の難易度が高いビザである事から、できる限り関連書類を提出するのが望ましいとされています。

申請の難易度が高く、経験に裏付けられた知見が必要になる経営管理ビザ更新では、プロの力を借りるのが最適解です。

今回は経営管理ビザ更新許可申請に必要な用件要項から、更新する上で最低限満たしたい3つのポイント、赤字決算の場合のリカバリー方法、長期ビザ更新をされるポイントまで、網羅的に解説します。

経営管理ビザの更新許可申請に必要な用件要項

まずは経営管理ビザの更新許可申請に必要な用件要項について見ていきましょう。経営管理ビザは以下4種類のカテゴリーに分かれており、カテゴリーによって必要用件が異なります。

カテゴリー1 カテゴリー2
(1) 日本の証券取引所に上場している企業
(2) 保険業を営む相互会社
(3) 外国の国又は地方公共団体
(4) 日本の国・地方公共団体認可の公益法人
(5)高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)
(6)一定の条件を満たす企業等
前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
カテゴリー3 カテゴリー4
前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く) 左のいずれにも該当しない法人・個人

法務省|経営・管理 提出書類 より抜粋

経営管理ビザ更新にはどのカテゴリーでも共通して必要な書類が4点あります。その他にカテゴリー3に属する方は追加で2点、カテゴリー4に属する方は追加で3点の書類提出が必要です。

上記は最低限提出が必要な書類であり、事業の安定性や継続性をより示す事ができる書類を、できる限り一緒に提出するのが望ましいとされています。

必ず必要な書類

経営管理ビザ更新において、どのカテゴリーの方も必ず必要となる書類は以下の4点です。

書類名 注意事項等
在留資格更新許可申請書 地方出入国在留管理官署にて用紙を配布。法務省のホームページからも取得可能。こちらから
顔写真 前回申請分と異なる写真であること
パスポート 又は 在留カードの提示
カテゴリーに属している事を証明する文書 カテゴリー1:四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)または 主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し) など

カテゴリー2 及び カテゴリー3: 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)

法務省|経営・管理 提出書類 より抜粋

カテゴリ3,4に必要な書類

カテゴリー3,4に属する方は上記の種類以外に、直近の決算報告書住民税の課税証明書又は納税証明書の2点を提出する必要があります。またカテゴリー4の方は外国法人の源泉徴収に対する免除証明書の提出も求められています。

したがって経営管理ビザ更新で最低限必要な書類数の合計は、

  • カテゴリー3→6種類
  • カテゴリー4→7種類

となります。

他にも法人/個人両方の納税証明書各種・法人名義の通帳写し・社会保険支払証明証・事業報告書などの提出が推奨されています。

このような法人の事業状況を示す書類を多めに準備することで、事業の安定性や継続性を測る経営管理ビザの更新がスムーズに運ぶ可能性が飛躍的に高まります。

直近の決算報告書(損益計算書・貸借対照表)

カテゴリー3,4に属する方は、直近の決算報告書(損益計算書・貸借対照表)の提出が義務付けられています。

個人事業の方は、確定申告書の写しを提出すれば問題ありません。

事業の継続性をビザ更新の要件に定める経営管理ビザにおいて、赤字決算では事業の継続性に疑義が出るため、決算に関する報告書の提出が求められるのです。

赤字の場合は法人・個人問わず、事業継続性についての説明が求められます。加えて赤字決済の際は、税理士等の専門家が作成した「事業計画書」の提出が必要です。あらかじめ準備しておくようにしましょう。

住民税の課税証明書または納税証明書

住民税の課税証明書または納税証明書のいずれかも、カテゴリー3,4に属する方は提出が必要です。1年間の総所得と納税状況の両方が記載された証明書であればどちらか一方の提出で良いとされています。

外国法人の源泉徴収に対する免除証明書

カテゴリー4に属する方は外国法人の源泉徴収に対する免税証明書も必要になります。源泉徴収がない場合は、源泉徴収を要しない事を証明する書類で代用可能です。

法人としての納税証明書各種

ここからは提出するのが望ましい書類について説明します。まず一つ目の提出が望ましい資料としては、法人としての納税証明書が挙げられます。この証明書は許可が下りてから更新までの期間全てに関係するものを指します。法人税や法人住民税、消費税等の記載を主に確認すると言われています。

法人名義の通帳の写し

法人名義の通帳の写しは、事業活動記録として、事業年度と同じ範囲のものを提出する事が推奨されています。

社会保険領収済証又は支払証明証

社会保険領収済証に関しては、健康保険や厚生年金保険の支払い実績が分かるように提出しましょう。

事業状況報告書

事業状況報告書は、売上が少ない事業者の場合は特に提出するのが望ましいとされている書類です。法人独自のものだけではなく、税理士などの専門家が作成した事業状況報告書も合わせて提出することで、客観性が担保され信頼性が増すでしょう。

「事務所」が継続して存在していることの書類

また事務所の最新の写真や、公共料金の明細書など、事務所が今も継続して存在している事を示す書類の提出もおすすめです。ペーパー会社でない事、日本にいてビジネスしている事の証明にもつながります。

その他事業活動許可証の写しなど

その他にも事業活動許可証の写しなど、事業の安定性や継続性に関係する書類は積極的に提出しましょう。

経営管理ビザを更新する上で最低限満たしておきたい条件

次に経営管理ビザを更新する上で、最低限満たしておきたい3条件について具体的に説明します。

経営管理ビザは自動的に更新されず、毎回必ず審査が入ります。経営管理ビザ更新の審査がスムーズに通るには、日本でしっかりと経営者や管理者として、安定的に継続した事業を行なっているかを示す必要があります。

法人税その他の法人に係る納税義務を果たしていること

まず第一に、法人税など法人に係る納税義務を果たしている事が、経営管理ビザ更新をする上で最低条件として満たしておきたい条件です。

日本でビジネスを行う上で、納税義務は切っても切り離せません。納税義務を果たしていない場合、それだけで却下される可能性もあります。それほど重要ですので、プロの力を借りて何度も確認する事をおすすめします。

経営者個人としての納税義務を果たしていること

次に、経営者個人としても納税義務を果たしているかどうかも最低限満たすべき条件になります。

税金を滞納している場合も経営管理ビザ更新が難しくなるため、滞納している方はできる限り早めに納税を済ませておきましょう。

役員報酬は最低でも新卒初任給程度(月額20万円程度)以上

また役員報酬は最低でも新卒初任給程度(月額20万円程度)以上であることも条件です。

役員報酬は小規模会社であれば、自分自身で決める事が多いでしょう。しかし仮に月額8万円と役員報酬を設定した場合、日本でどのように生活していくのか、疑問視され節税目的と見做される可能性が高くなります。

変な疑義を持たれない為にも、適正な役員報酬を設定しましょう。

なぜ経営管理ビザの更新にこれらの条件を満たしていないといけないのか

不正を働いていないこと、事業計画書の内容と結果が大きくずれていないこと、赤字および債務超過になっていないことが経営管理ビザの更新に求められます。

なぜこれらの条件を満たす必要があるのかと言うと、経営管理ビザでは、安定して企業活動を継続できる会社の「経営」「管理」をする者に対し取得を許可、または更新を許可するものと考えられているからです。さらに、なぜ企業の安定性および継続性が求められるのかと言えば、そのような会社が多くできるほど日本にとって多くの利益が生じるからです。

わざわざ「経営管理」というビザを発行する意図には、優秀な経営者を呼び込むことで国内に良い経済効果をもたらしたいということが含まれています。赤字や債務超過が続いており、安定・継続できる会社でないのであればわざわざ経営管理ビザを設けた意義も薄れてしまいます。犯罪などの不正を働いている場合には利益どころか不利益がもたらされることになってしまいます。

このような背景から、更新許可を得るためには結果として前述の条件を満たすことが必要とされているのです。

経営が赤字の場合のリカバリー方法

赤字決算の場合は赤字の理由に加え、リカバリー作を明確に提示する事が求められます。

事業計画と異なる経営状況に陥っている場合は、まず見立てから作成し直す必要があります。とは言え、更新できるようにありもしない事を書くのは控えましょう。

赤字決算の場合、赤字の総額と資本金の関係で以下のように判断される事が多いとされています。

MEMO

①赤字の総額<資本金の場合→更新可能
②赤字の総額>資本金の場合→更新不可
※②の場合には、増資が必要です。

特に2期連続で赤字決算である際は、支援がない限り持続不可能を見做されてしまいます。

赤字決算は事業状況が厳しいと判断され、経営管理ビザ更新のハードルが一段と高くなります。

このような状況に陥っている方は、専門家の助言を受けた上でビザ更新を行う事を強くおすすめします。

長期ビザ更新をされるポイント

初めて経営管理ビザを取得した際は、1年間の在留期間が許可される場合が一般的です。

そのため、1回目の更新は初めてビザを更新して1年後には取得する必要があります。しかし月日を経て条件を満たせば、長期ビザを更新される可能性が高くなります。

経営管理ビザは5年・3年・1 年・4月・3月の在留期間が存在します。一般的には1年目1年、2年目1年、3年目長期というパターンで更新される事が多いとされています。

長期の在留期間を許可されるためには、それまでの事業の経営状況や取引、雇用等を総合的に勘案した上で判断されます。

ここでは、長期ビザが更新されやすいポイントについて説明します。

売上・利益・納税額が安定している

まずは法人自体の売上・利益・納税額が安定しているという点です。直近3年間安定して稼ぎ続けており、納税している事を示すのが長期ビザの更新には望ましいとされています。

日本人や永住者ビザ保有者を複数名雇用している

会社に日本人や永住者ビザ保有者を複数名雇用している事も長期ビザ更新では重要なポイントです。

雇用保険に加入している日本人や永住者ビザ保有者を複数名雇っている場合、経営的に体力があり信用性が高くなります。社会保険にも加入していればさらに有利です。

国や自治体等との安定した取引がある

国や地方自治体など、公的な機関との安定した取引かあるかどうかも長期的にビザ更新を行う観点で重要になります。

公的な機関と安定的に取引がある会社であれば、国や地方自治体に認められた会社であると判断され、信頼性が高くなります。

中堅規模以上の既存法人の役員(代表取締役等)に就任する

中堅規模以上の既存法人において、代表取締役などの役員に就任するのも有効です。

役員になるほど優秀な人材だと評価され、今後も事業を安定的に継続して行えると判断されやすくなります。

中堅規模以上の既存法人が出資した会社の役員になる場合

また出資した中堅規模以上の既存法人の会社役員に就任する場合も長期ビザ更新に有利だと言われています。

役員である事から優秀だと判断されるほか、既存法人からの後押しがあると評価されやすくなります。

経営管理ビザの更新で不許可になってしまう例

更新時に不許可となってしまう例をいくつか挙げていきます。いずれかに該当すれば即座に不許可が決定するというものでもありませんが、常に以下のことには注意して事業を行っていくようにすべきでしょう。

何か不正をした

ビザ取得後の活動の中で何かしらの不正を働いた、素行不良があった、などの事情があると経営管理ビザの更新が不許可となる可能性があります。

例えば罪を犯してしまい刑事処分を受けること、不法就労の斡旋をした場合などには、次回の許可が下りないことが予想されます。

経営管理ビザですので、経営もしくは管理をしている会社の業績も重要な判断ポイントではあるものの、他にも社会保険・税法等に関する法令の遵守ができていないと、この場合もやはり不許可となるおそれがあります。法人税、その他の法人に関する納税義務を果たしていなかったり、個人としての納税義務が果たされていない、従業員がいる場合には特に労働関係の法令・社会保険関連の法令を遵守していなかったりすると不許可の可能性が高くなってしまいます。

すべての法令に順守する必要がありますが、法改正がなされることもあり、すべてを完璧に追っていくのは難しいかもしれません。故意もなく軽微な違反であれば注意を受ける程度で更新には問題ないケースも多くありますが、不安要素ができてしまいますので、できるだけ小さな違反もないよう、専門家の力も借りることが大切でしょう。

手続に関することや書類作成に関することは行政書士、登記は司法書士、雇用関係は社労士、紛争に関しては弁護士に相談するのが王道と言えるでしょう。

事業計画と数字が解離している

ビザ取得時の審査において事業計画書を提出することになります。審査官は申請人の経歴や実績、資金、そして事業計画書の内容から事業の継続性と安定性を評価し、ビザの取得可否を決定します。事業計画書はこれから経営する会社が上手くいくかどうかを判断する非常に重要な資料となり、できるだけ相手方を説得できるような資料とならなくてはなりません。

そして更新の場面においては、その提出した内容通りに事業を遂行できていることを示すことが大切で、過去提出した内容からかけ離れた結果になっていると不許可になってしまう可能性も高くなってしまいます。

特に、当初の計画がビザ取得だけをゴールに設定した内容であるとこのような事態に陥りやすいと言えます。真実でないことを記載してしまっていたり、内心実現不可能と分かっているにもかかわらず記載してしまっていたりする場合に起こります。

ただ、当初真面目に作成したつもりでも、業界の状況が大きく変わってしまい上手くいかなくなってしまうことも珍しくありません。そのため計画通りにならなかったとしてもそれだけで必ず不許可になってしまうものではありません。

あまりにもかけ離れた結果だと更新の許可は難しくなってしまうということを覚えておくといいでしょう。

赤字で立て直しが難しい

前項にも関連しますが、作成した事業計画通りに遂行できず、赤字決算になってしまうと更新不許可になる可能性は高くなります。

しかしながら会社を経営する上で赤字になることもそれだけで異常なことではありませんし、珍しいことでもありません。重要なのはなぜ赤字になったのか、その原因であり、その後赤字から黒字に立て直すことができるのであればさほど問題にはなりません。
そのため単に赤字になったからといって必ず不許可になるわけではありません。特に初年度や立ち上げから間もない頃は取引も安定しておらず赤字になるケースも多いです。

そこで事業計画書でも赤字になることを見越した計画を立てるようにしなければなりません。

参入する業界によっては、テクノロジーの発展に伴い市場の変動スピードも速いことがあります。赤字になってしまったときでも落ち着いて企業を適応させ、軌道修正していく作戦を立てるようにしましょう。
頑張っても立て直しが難しいという状況であれば、経営管理ビザの更新はできず、不許可となってしまいます。

債務超過になった場合

赤字で更新ができなくなるのと同様、債務超過に陥っても更新は認められにくくなります。どちらも似た状況ではありますが、厳密には一緒ではありません。

赤字は年度などある期間における費用等の支出が収益を超え、生じた損失額を指します。一方債務超過は債務が資産を上回る状態、どちらかと言えば一定期間ではなく、ある時点における状況を指します。やはり債務超過自体即座に不許可事由にあたるわけでもありませんが、赤字に近い状況ですのでこれが続き事業の継続が難しくなると更新はできなくなります。

経営管理ビザ更新のまとめ

ここまで経営管理ビザ更新許可申請に必要な用件要項から、更新する上で最低限満たしたい3つのポイント、赤字決算の場合のリカバリー方法、長期ビザ更新をされるポイントまで解説しました。

経営管理ビザ更新には、事業をしっかりと持続する事が何よりも大切です。

その上で日本でビジネスを行う際に最低限すべき事が求められています。しっかり日本に滞在してビジネス活動を行っている事を示すよう心がけてください。

上記で説明したように、経営管理ビザ更新では最低限求められる書類以外にも、様々な書類を合わせて提出するのが望ましいとされています。

思ったよりも多くの書類が必要だと思われた方もいるかもしれませんが、それだけ申請の難易度が高いのが経営管理ビザなのです。

経営管理ビザ更新申請書類を自分で作成できるものの、確実に更新を勝ち取るにはプロの力を借りるのが最適です。

少しでも気になる点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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